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フィリップ・トーンドゥル(オーボエ)
Philippe Tondre (Oboe)

   
2008年 若干18歳でシュトゥットガルト放送交響楽団首席オーボエ奏者に就任。
2016〜17年 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団首席オーボエ奏者を歴任。
2017年 シュトゥットガルトSWR交響楽団(旧シュトゥットガルト放送響)首席奏者に復帰。(2020年まで)
2019年〜 ヨーロッパ室内管弦楽団(本拠=ロンドン)首席オーボエ奏者を兼任。
2020-2021シーズンよりフィラデルフィア管弦楽団首席オーボエ奏者を務める。
2022年 カーティス音楽院教授を兼務。

 
       

フィリップ・トーンドゥルのキャリアには、幾つもの忘れがたい出来事が刻まれている。彼にとって極めて重要な出来事のひとつが、2011年ミュンヘン国際音楽コンクールでの優勝、並びに聴衆賞とリザ・リムによる委嘱作品の最優秀演奏解釈賞の獲得であったことは疑いない。2012年にはボンのベートーヴェン音楽祭で栄えある「ベートーヴェン・リング」(注・音楽祭に出演した若手演奏家の中から一人のみに与えられるベートーヴェンの姿を刻んだ指輪)を授与された。これにより、ユリア・フィッシャー、リサ・バティアシュヴィリ、グスターボ・ドゥダメルといった錚々たる過去の受賞者の列に加わったことになる。また、仏独系テレビ局アルテのテレビ番組《明日のスター》(司会はローランド・ヴィラゾン)に招かれ、出演したこともまたとない素晴らしい機会であった。

2017/2018シーズンにはアルカータ室内管弦楽団とのドイツ・ツァー、ヨーロッパとアジアでの多くのマスタークラス、北京と上海でのリサイタルなどが挙げられる。今シーズン中には更に、ロータス・カルテット、ゲヴァントハウス・ソロイスツ、ピアニストのダナエ・デルケンらとの共演で、室内楽コンサートやリサイタルが予定されている。また、仲間たちと共にロンドンのウィグモア・ホールにおいて、藤倉大のピアノと管楽のための五重奏曲《GO》のヨーロッパ初演を手掛けた。
2016/2017シーズンで特筆されるのはダナエ・デルケンとのコラボレーションである。これは南西ドイツ放送によるCD録音として結実し、そこでは埋もれていたドイツ作品も取り上げたこと。セバスティアン・マンツ、ダニエラ・コッホ、マクシミリアン・ホルヌンクら若手演奏家も加わっている。続いてトーンドゥルとデルケンはギリシャのモリヴォス国際音楽祭に参加。これは欧州の歴史の中でも試練の時にあって、国々を、また異なった文化を持つ人々を結び付ける、新しい、そして勇気づけられるプロジェクトであった。また第10回ソチ国際冬の芸術祭のオープニング・ガラで、ユーリ・バシュメット、モスクワ・ソロイスツと共演した。昨シーズン中も数多くの室内楽コンサートやリサイタルを、ロータス・カルテット、ゲヴァントハウス・ソロイスツ、ダナエ・デルケンらとの共演で行っている。また、小菅優と組んで斬新な企画による日本ツァーに乗り出し、日本人作曲家によるピアノ五重奏曲《GO》の世界初演を披露した。続いて中国国際オーボエ・フェスティバル(青島)に参加している。

2020/2021シーズンからは長年務めたシュトゥットガルトSWR交響楽団首席オーボエ奏者の任を離れ、これまで音楽監督ヤニック・ネゼ=セガンからの要請により客演首席奏者として度々共演を重ねてきたフィラデルフィア管弦楽団の首席オーボエ奏者に正式に就任。2022年からはカーティス音楽院教授も兼務。
ヨーロッパ室内管弦楽団首席オーボエ奏者としての活動も継続。更に水戸室内管弦楽団,サイトウ・キネン・オーケストラ、ブダペスト祝祭管弦楽団、新設のカンマー・アンサンブル・ドゥ・パリにメンバーとして参加。ソリストとしてもバイエルン放送交響楽団、シュトゥットガルト放送交響楽団、スイス・ロマンド管弦楽団、ミュンヘン室内管弦楽団、ジュネーヴ室内管弦楽団、ニュー・モーツァルト・オーケストラ・ロンドン、シュトゥットガルト室内管弦楽団など、数多くの一流オーケストラと共演を重ねてきた。ベルリン・フィルハーモニーには、2013年6月にボフスラフ・マルティヌーのオーボエ協奏曲をクレメンス・シュルト指揮のベルリン・ドイツ交響楽団をバックに演奏し、デビューしている。

これまでに、小澤征爾、アンドリス・ネルソンス、イヴァン・フィッシャー、ダニエレ・ガッティ、フランツ・ヴェルザー=メスト、サー・ロジャー・ノリントン、サー・コリン・デイヴィス、サー・ネヴィル・マリナー、ファビオ・ルイージ、ネーメ・ヤルヴィ、ヘルベルト・ブロムシュテット、エサ=ペッカ・サロネン、マレク・ヤノフスキ、ダニエル・ハーディングといった傑出した指揮者と共演してきた。現代作品にも力を注ぐトーンドゥルは、ジェームズ・マクミランのオーボエ協奏曲のドイツ初演を手掛けている。作曲者自身の指揮でシュトゥットガルト放送交響楽団と共演し、絶賛を浴びている。また日本初演となるジェルジュ・リゲティの《フルート、オーボエと管弦楽のための二重協奏曲》を、フルートのジャック・ズーン及び大野和士指揮によるサイトウ・キネン・オーケストラと共に演奏したのも忘れがたい。室内楽にも情熱を傾けており、キッシンゲンの夏音楽祭、シュヴェツィンゲン音楽祭、東京・春・音楽祭、ヴュルツブルク・モーツァルト音楽祭、ブザンソン国際音楽祭などの常連である。ハインツ・ホリガー、ラデク・バボラーク、モーリス・ブルグ、オルガ・ワッツ、ジャック・ズーン、セバスティアン・ジャコー、ダーク・イェンセン、デネシュ・ヴァリヨン、ARDクインテット、モディリアーニ弦楽四重奏団といった世界的な演奏家たちと共演している。客演首席奏者としてもアムステルダム・ロイヤル・コンセルトヘボウ、ヨーロッパ室内管弦楽団、パリ管弦楽団、バイエルン放送交響楽団といった一流オーケストラで演奏を重ねている。

第65回ジュネーヴ国際音楽コンクール、ソニー音楽財団国際オーボエコンクール・軽井沢、フェルナンド・ジレ=ヒューゴ・フォックス国際オーボエコンクール(米国)、プラハの春国際音楽コンクールなど主要国際コンクールで受賞を重ね、プラハではグスタフ・マーラー賞(Mahler Association2000Viennaによる)も獲得。

1989年、フランスのミュルーズ生まれ。フランス国立ユース・オーケストラ、グスタフ・マーラー・ユーゲントオーケストラに参加。パリ国立高等音楽院の学生であった18歳の時にシュトゥットガルト放送交響楽団(現・シュトゥットガルトSWR交響楽団)首席奏者、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団首席奏者を歴任。使用楽器はビュッフェ・クランポン“Légende”

(2022年3月現在)


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【映像・音源資料】
Wolfgang Amadeus Mozart, Oboe Concerto in C Major KV. 314
- Budapest Festival Orchestra - P. Tondre
 
   
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