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漆原 朝子 新聞・雑誌掲載記事(2006) | ||||
神戸新聞(朝刊) “音楽季評”小石 忠男 '06. 11月29日 湯浅卓雄(指揮)/漆原朝子(ヴァイオリン) 音楽の友 '06.
12月号 '06. 6月29日 朝日新聞 夕刊 シューマンのソナタ全曲に挑戦 バイオリン 漆原朝子 バイオリンの漆原朝子が7月5日、神戸ハーバーランドの神戸新聞松方ホールで、シューマンのソナタ全3曲の演奏に挑む。めったに弾かれることのない晩年の作品「第3番」を含め、全ソナタが厚みのある音色で奏でられる。 3曲とも書かれたのは1850年代。シューマンが晩年の精神的な不安定さや苦悩を抱えていたころの作品だ。その作風に華やかさやきらびやかさはないものの、柔らかな旋律がゆったりと流れる。 米国のジュリアード音楽院に留学していたころ、シューマンを演奏し始めたという漆原は「米国では、シューマンの狂気の部分を強調する傾向が強い。でも私は、自然体で弾くことで狂気と正気を行ったり来たりしていたシューマンの本質に近づきたい」と意気込む。 漆原は02年6月、同ホールで全シューマンプログラムの演奏会を開いて好評を得た。今回はその第2弾。さらに深く掘り下げたシューマンのソナタが聴けそうだ。 コンサートは午後7時15分開演。曲目は、ほかにシューマンの「三つのロマンス」作品94。ピアノは迫昭嘉。4500円。問い合わせはコジマ・コンサートマネジメント(06・6241・8255)へ。 '06. 6月27日 読売新聞 夕刊 シューマンのバイオリンソナタ 全曲演奏 国際的に活動するバイオリニストの漆原朝子がシューマン没後150年を記念して、7月5日、神戸新聞松方ホールでバイオリンソナタ3曲を演奏する。世界でも例が少ない全曲演奏の機会に、漆原は「心を病んだシューマンは、楽曲を書くことで自分の内面に深く向き合っていった。彼の病を自然なこととして受け入れ、響きに表したい」と話す。 シューマンが生涯をかけて書いた「バイオリンとピアノのためのソナタ」第1〜第3番などを披露。漆原は2002年に初めて同じプログラムで演奏会を行い、好評を博した。今回はピアノに迫昭嘉を招き、二重奏を聴かせる。 「米国に留学していた時は、シューマンの曲は彼の狂気を表現するため、フレーズの変化を強調し、過激に弾くという解釈が主流だった」と言う。だが、「ドイツで学んで考え方が変わった。彼にとっては心が病んでいる状態が日常で、その中で書いた曲が芸術の域に高まった。ならば彼の病を受け入れ、飾りを排した演奏がしたいと思った」。 ソナタ3曲のうち、特に第3番は、シューマンが自殺を図る前年の1853年に書かれ、長い間演奏される機会がなかった。彼はこの曲をブラームスの影響を受けて作ったが、妻とブラームスとの関係を疑っていたとも言われる。「前回の演奏会で貴重な機会を得て、シューマンが身近に感じられるようになった」と話す漆原が、迫との共演でシューマンの複雑な内面にどう迫るかが楽しみだ。 '06. 6月23日 日本経済新聞 夕刊 漆原朝子・迫昭嘉「シューマンの全体像示す」 ヴァイオリンの漆原朝子がピアノの迫昭嘉と組み、作曲家シューマンの没後150年記念としてヴァイオリンとピアノのための「ソナタ」全3曲と「3つのロマンス」を特集する。 漆原は4年前にもベリー・スナイダーのピアノで同じ作品を手がけ、CD(フォンテック)も録音した。「以前は何とか形を定めようと苦心したが、今は書かれた通りに弾くことでよりシューマンに近付けると思えるようになった」という。4作品まとめて弾くことで「初期の歌曲にも通じる楽想、あるいは晩年の散文的に自由な展開などシューマンの全体像を提示したい」と意気込む迫のピアノは「底辺が大きく、強引ではない力強さがある」と評価している。会場は7月5日が神戸・松方ホール、7日が東京・第一生命ホール。 問い合わせはコジマ・コンサートマネジメント 03・5379・3733 '06. 6月8日 毎日新聞 夕刊 漆原朝子がシューマンのソナタ全曲演奏 音楽が体の奥に深く入り込んでいく 02年にシューマン(1810〜56)の「バイオリンとピアノのためのソナタ」全3曲を一夜で演奏したバイオリニストの漆原朝子が、シューマン没後150年を記念して2度目のソナタ・チクルス(全曲演奏)に挑む。病が影を落とした晩年の作品は、時にエキセントリックに演奏されることもある。だが漆原は「身構えず自然に。シューマンの作品は私の体の癖、呼吸に一番合う」と語る。 ソナタ3曲はすべてシューマン最晩年の作品。楽器の特性を素直に生かして書かれていないため弾きにくく、アンサンブルも難しい。 「狂気と正気をさまよっているという解釈のもとに、二面性を強調して演奏されることもある。初めは戸惑ったが、感じたまま自然に弾くことでシューマンの本質が現れる。そう気づいて楽になった」と言う。そしてシューマンの魅力を「演奏していると音楽が体の奥に深く入り込んでいく感覚にとらわれる。『奥』という感覚を意識させられる作曲家はシューマンだけ」と語る。 02年のライブ録音はフォンテックからリリースされ、高い評価を得た。今回は、ともに東京芸術大助教授であり、共演歴の多い迫昭嘉のピアノで4年ぶりに再挑戦する。 「作曲家それぞれに呼吸法が違い、そこを意識すれば音もニュアンスも変わる。何を弾いても同じではなく、作品にふさわしい音が、自然に出せるようもっと研究したい」 7月5日午後7時15分、神戸新聞松方ホール。4000円(当日4500円)。コジマ・コンサートマネジメント(06・6241・8255) (出水奈美) 音楽の友 '06. 4月号 関西フィルハーモニー管弦楽団(第181回) いまや国際的に華々しく活動する湯浅卓雄の指揮。曲目は諸井三郎「小交響曲」作品24、グラズノフ「ヴァイオリン協奏曲」、ラフマニノフ「交響曲第3番」。湯浅好みでしぶいが、演奏はいずれも作品の内容を深い共感で描き、アンサンブルのみごとなことも特筆しておきたい。まず諸井作品だが、明快きわまる旋律線と着実なリズム処理が、すべてに明晰な音楽を聴かせた。精緻な曲の書法も的確にあらわされたが、特に日本調を意識させた第3楽章では、丹念な音符の処理と相俟って、親しみやすい演奏に仕上げられた。 グラズノフは漆原朝子の独奏がこの上なく着実・緻密な音楽。彼女の豊麗な音の曲線が旋律を息づくように歌い、まったく隙のない技術と造形が、内面の情緒を自然に湧出させた。ラフマニノフも湯浅の強靱な統率力によって、すばらしく透明度の高い演奏を展開した。音構造の分析的な表現も曲にふさわしい。弦を主体としたバランスと鮮烈なリズム、楽想に即したアゴーギクも申し分ない。したがって要所が堅固に高揚したが、半面、終楽章では、作品自体の極造的な弱点を如実にあらわした印象を残した。止むを得ないと思う。 2月23日・ザ・シンフォニーホール (音楽評論家 小石忠男) |最新記事|2013|2011〜2012|2010|2009|2006|2005|プロフィール| |
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