ニクラス・ウィレンはこのほど、2010/2011シーズン(2010年9月〜)からのケルンWDR放送管弦楽団(WDR Rundfunkorchester
Koln)首席指揮者に任命された。
ウィレンは今年になって既にロストック・フォルクステアター音楽総監督、並びに北ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者への就任が決まっており、それにこのケルンWDR(西部ドイツ放送協会)放送管弦楽団首席が加わることになる。
1961年ストックホルムに生まれたウィレンは同市の王立音楽大学で指揮と作曲を学んだ。スカンディナヴィア、北欧諸国で着実に活動の地歩を固め、大いに尊敬を集める存在である。ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団やスウェーデン放送交響楽団を初めとするスウェーデン、ノルウェー、デンマークの主要オーケストラやスウェーデンの主要オペラで定期的に指揮を重ねている。昨シーズンはメキシコ国立大学フィルハーモニー管弦楽団、及びロストック北ドイツ・フィルでのデビュー(両楽団より即時再招請受ける)を果たした。
ニクラス・ウィレンは古典派、ロマン派、現代それぞれのレパートリーに強い愛着と関心を持っており、また多くの楽団と頻繁に録音を行っている。そのパートナーはスウェーデン放送交響楽団、ロイヤル・ストックホルム・フィル、ストックホルム王立オペラ、エーテボリ交響楽団、マルメ・オペラ、セナーユラン交響楽団などである。
セナーユラン響とのプロコフィエフのピアノ協奏曲全集の録音について、ポール・セロットスキー(ミュージックウェブ・インターナショナル)は次のようにコメントしている。
「ウィレンは共演者へのサポートがすばらしい。オーケストラを巧妙に煽り、マルシェフの主張の強いピアノにうまく合わせていた」
「息をのむ素晴らしさ、エクセレント」
またニールセンの『アラディン組曲』、『パンとシリンクス』、『ヘリオス序曲』のレコーディングには、ロブ・バーネット(ミュージックウェブ・インターナショナル)が次のようにコメント。
「ウィレンのニールセンはペースが実にうまい。・・・ウィレンによるニールセンは素晴らしい演奏である。・・・『ヘリオス序曲』の優れたお手本」
アルヴェーンの管弦楽曲全集Vol2(ナクソス)では次のような賛辞を受けている。
「バレエ組曲『放蕩息子』の陽気なポルカ6番でみせるウィレンのしゃれっ気のある演奏や、交響曲第2番では曲を締めくくる激しいフーガで奏者たちを巧みに導いていくのを聴けば、このCDが惜しみない称賛を受けたわけがよくわかるというものだ」
(マイケル・ジェームソン、クラシックストゥデイ)
ケルンWDR放送管弦楽団は1947年に創設され、永続的に務める客演指揮者たちと活動している。楽団には常連の客演指揮者が長年にわたって関わっており、その中には若い世代の著名指揮者も含まれる。これまでの客演指揮者にはレオポルト・ハーガー(ウィーン、フォルクスオーパー元首席指揮者)、シュテファン・ブルニエ(ボン・ベートーヴェン・オーケストラ音楽総監督)、グスタフ・クーン(高い評価を得た2008年バスティーユ・オペラの『影のない女』を指揮、パリ国立オペラを率いて日本ツァー)、アリ・ラシライネン(オスロのノルウェー放送管弦楽団首席指揮者)、ピンカス・スタインバーグ(ベルリン・ドイツ・オペラで『トリスタン』と『トゥーランドット』を振ったのが記憶に新しい)などがいる。
ケルンWDR放送管弦楽団では20世紀の作品、中でもカールハインツ・シュトックハウゼンの音楽に焦点を当てている。元首席で現在は名誉指揮者であるヘルムート・フロシャウアーの下でドイツ国内のツァーを開始。2005年から2008年まで首席指揮者を務めたミハイル・ユロフスキは、現在オーストリアのトーンキュンストラー管弦楽団の首席客演指揮者である。
この新たな任務について、ウィレン自身はこう語る。
「ケルンWDR放送管弦楽団の首席指揮者となること、ヨーロッパで最も有名な放送局のひとつであるWDRに参画することにわくわくし、そして大変名誉に思っています。WDRは既に優れたオケである同楽団を更に発展させているところですから。」
西部ドイツ放送協会のモニカ・ピール会長は次のように語っている。
「ニクラス・ウィレン氏は芸術家としての優れた資質と経験を具えているだけでなく、現代音楽への深い造詣も持ち合わせています。首席指揮者ウィレン氏と共に、我々は新たな道を進み、そして若者たちの音楽への情熱を更に高めるという我々の目的を追求していきます。」
2009年12月
http://www.wdr.de/radio/orchester/rundfunkorchester/index.html
ニクラス・ウィレン プロフィール
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