2回目の無伴奏プログラムに寄せて 2024年に初めてヴァイオリン一挺の演奏会をさせていただきました。 2025年にもその機会をいただき、また孤独な闘いがやってくるなという恐れと、達成した時の喜 びのどちらも楽しみにしています。 今回バッハからは、その曲集の最初を飾る第1番ソナタ。恐らく、ヴァイオリンを学習する人は誰でも取り組んだことがあるのではないでしょうか。ヴァイオリニストにとって、バッハの深淵な世界はここから始まると言っても過言ではないかもしれません。また、パルティータ第1番は、それぞれの舞曲にドゥーブルという影のような存在が続く、他の2曲のパルティータにはない趣向の作品です。 パガニーニは、前回4番まで取り上げたので、それに続く4曲を。 1964年に作曲されたワインベルクの無伴奏ソナタ第1番は初めて取り組む作品です。 この作曲家の作品では、以前ヴァイオリン二重奏を演奏したことがあるのですが、その音楽が持 つ強さに驚きました。1919年ポーランドのユダヤの家庭に生まれ、生年から想像できるように、 幼少期から社会情勢に翻弄された人生でした。いつまでも繰り返される争い、犠牲になる人たち、痛み、そして救い、何かしらの形で人間界にずっと居続ける、理不尽と思われる事象に抗う心。作品から滲み出る作曲家の想いが、この世界を良い方向に持っていく助けになることを願っています。 白井 圭
2024年に初めてヴァイオリン一挺の演奏会をさせていただきました。 2025年にもその機会をいただき、また孤独な闘いがやってくるなという恐れと、達成した時の喜 びのどちらも楽しみにしています。 今回バッハからは、その曲集の最初を飾る第1番ソナタ。恐らく、ヴァイオリンを学習する人は誰でも取り組んだことがあるのではないでしょうか。ヴァイオリニストにとって、バッハの深淵な世界はここから始まると言っても過言ではないかもしれません。また、パルティータ第1番は、それぞれの舞曲にドゥーブルという影のような存在が続く、他の2曲のパルティータにはない趣向の作品です。 パガニーニは、前回4番まで取り上げたので、それに続く4曲を。 1964年に作曲されたワインベルクの無伴奏ソナタ第1番は初めて取り組む作品です。 この作曲家の作品では、以前ヴァイオリン二重奏を演奏したことがあるのですが、その音楽が持 つ強さに驚きました。1919年ポーランドのユダヤの家庭に生まれ、生年から想像できるように、 幼少期から社会情勢に翻弄された人生でした。いつまでも繰り返される争い、犠牲になる人たち、痛み、そして救い、何かしらの形で人間界にずっと居続ける、理不尽と思われる事象に抗う心。作品から滲み出る作曲家の想いが、この世界を良い方向に持っていく助けになることを願っています。
白井 圭(ヴァイオリン) トリニダード・トバゴ共和国生まれ、東京藝術大学を経てウィーン国立音楽演劇大学で学ぶ。徳永二男、大谷康子、田中千香士、堀正文、ゴールドベルク山根美代子、ヨハネス・マイスルなどに師事。日本音楽コンクール第2位及び増沢賞(2001)、ARDミュンヘン国際音楽コンクール第2位及び聴衆賞(2009)、ハイドン国際室内楽コンクール第1位及び聴衆賞(2015)など受賞。ソリストとしてはウィーン楽友協会でのリサイタルや、チェコフィルなどと共演。2018年3月まで神戸市室内合奏団コンサートマスター、2020年4月より2023年3月までNHK交響楽団ゲスト・コンサートマスターを務める。 田中千香士レボリューションアンサンブル音楽監督及び室内楽大磯ユースアンサンブル音楽監督。トリオ・アコード、ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ、ザ・プラーター・クインテットのメンバー。 2023年より鵠沼音楽アカデミーを主宰。 https://km-academy.jp