日本を代表する国際的ヴァイオリニストの一人である漆原朝子は東京藝術大学附属高等学校在学中に第2回日本国際音楽コンクールにおいて最年少優勝並びに日本人作品最優秀演奏賞を受賞し、一躍内外の注目を集めた。東京藝術大学に入学した翌年、文化庁芸術家在外研修員としてジュリアード音楽院に留学。ヴァイオリンを徳永二男氏、ドロシー・ディレイ女史らに師事。
1988年、NHK交響楽団定期公演でのデビューに引き続き、ニューヨークでリサイタル・デビューを行い、ニューヨーク・タイムズ紙で『1920年代の巨匠を思わせる演奏』と高く評価され、翌年のケネディ・センターでのリサイタルでは、ワシントン・ポスト紙に『恐るべき才能』と絶賛された。
さらにマールボロ音楽祭では、リチャード・グード等との共演に加えて、往年の巨匠ルドルフ・ゼルキンに認められて共に演奏する。尚、この演奏会はゼルキンにとって生前最後の公演となった。
1992年ウィーン・ムジークフェラインザールでのリサイタル以後は次第にヨーロッパでの活動が活発化し、ザルツブルク、ルツェルン、ウィーン芸術週間、シュヴェッツィンゲン、ベルリン・ビエンナーレ、パリの秋、ダルムシュタットなどの音楽祭にも度々登場するほか、欧米各地で数多くのリサイタルツアーを行う。
漆原朝子は多くの指揮者・オーケストラから常に高い信頼を得ており、ホルスト・シュタイン、フェルディナント・ライトナー、ジャン・フルネ、ガリ・ベルティーニ、エサ=ペッカ・サロネン、ズデネェク・マーツァル(マカール)、イルジー・ビエロフラーヴェク、マルティン・トゥルノフスキー、ベルンハルト・クレー、アレクサンドル・ラザレフ等の指揮者や、ハンガリー国立響、プラハ放送響、ロイヤル・リヴァプール・フィル、モスクワ国立響、ボルティモア響、ミルウォーキー響、南西ドイツ放送響、ミュンヘン室内管弦楽団、ワルシャワ・フィルなど欧米各地のオーケストラと共演するほか、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京都交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京シティフィルなど日本の主要オーケストラとも度々共演している。
これまでに、第4回アリオン賞(87年)、モービル音楽賞奨励賞(90年)等を受賞。また、CDも古典から現代前衛作品に至る、非常に広範なレパートリーを多数リリースしているが、2002年に行われ、各方面から注目と賞賛を得た『漆原朝子のシューマン〜ヴァイオリンソナタ全3曲&3つのロマンス』(ピアノ=ベリー・スナイダー)のコンサートライヴCDを2003年6月にリリースし、作品の再評価を大きく促す名演、演奏家としてのめざましい充実などと非常に高い評価を得ている。さらに、2004年
その続編として開催された『漆原朝子のブラームス〜ヴァイオリンとピアノのための作品完全全曲演奏会』も新聞評などで絶賛を博し、この模様もやはりディスクとして2005年6月にリリースされ、同様に高い評価を得ている。
2006年にはシューマン没後150周年を記念して最晩年の傑作ヴァイオリンソナタ全曲を再び取り上げるほか、大阪センチュリー交響楽団 (現
日本センチュリー交響楽団)シューマン:交響曲全曲ツィクルスにも登場し大きな注目と賞賛を得た。
2008〜09年にはベリー・スナイダー、ロータス・カルテットと共に『シューベルト:ヴァイオリン作品全集』をレコーディング。
ベリー・スナイダーとは長年にわたってデュオを組んでおり、2009年にオール・シューベルト、2010年には生誕200周年記念 シューマン・プログラムなどテーマ性をもったリサイタルツアーをその後2013年、2015年にも行っている。
また、2012〜13年には東京と大阪でベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ全曲ツィクルス(ピアノ=鈴木慎崇)を行い、聴衆にひときわ深い感銘を与えた。
英国人指揮者 ジョセフ・ウォルフとはライフワークの一つでもある大作 エルガー:ヴァイオリン協奏曲を 2013年 広響定期、2015年 群響定期・東毛定期、2017年
兵庫芸術文化センター管弦楽団定期(三公演)で共演。兵庫での演奏はライヴレコーディングCDとしてリリースされて話題となり、各方面より高評を得ている。
姉 漆原啓子との共演で,平成26年度 文化庁芸術祭レコード部門優秀賞受賞。
現在、東京藝術大学教授 大阪音楽大学特任教授。
(2024年4月現在)
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