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大谷 玲子 新聞・雑誌掲載記事

音楽の友 '17. 1月号


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音楽の友 '11. 5月号

 ルトスワフスキとシマノフスキを挟んで、ヴィエニャフスキを中心に構成したユニークな演奏会。まずヴィエニャフスキ「創作主題による変奏曲」。豊潤な音色で曲想を積み上げてゆくが、その華やかさの中に大谷玲子は一抹の翳りを巧みに折り込んだ。続く《レジェンド》では哀愁を帯びた民謡調の旋律が繰り返し投げかけられるたび、その叙情性は高い精神性へと位相を高めていった。ルトスワフスキ「パルティータ」に移ると、その世界は深淵を見つめる厳しい緊張感に一変。民謡的な親和と厳しい不協和との同居の中から人間存在そのものを問いかける視線を引き出す。後半はシマノフスキ《神話−3つの詩》で異なる雰囲気を演出。〈アレトゥーサの泉〉〈ナルシソス〉〈ドリアードとパン〉の物語世界が艶に満ちた分厚い響きによって描き出された。最後は再度ヴィエニャフスキの世界に戻り、《華麗なるポロネーズ第1・第2》、民族的な躍動感と背後の複雑な時代相とを余すところなく提示した。高度な技巧と深い音楽性からのみ引き出される彫りの深さが、全体に独特のポーランドの“こく”を与えていたのが印象的。伴奏ピアノの岡本麻子も好演。
3月6日・イシハラホール
(嶋田邦雄)




音楽の友 '10. 11月号

セントラル愛知交響楽団(第108回)

 名古屋での客演も回数を重ねておなじみになった阪哲朗指揮による今回は、室内楽的な管弦楽作品に焦点を当てた。
 ストラヴィンスキー《プルチネッラ》のすっきりした進行は良かったが、金管セレクションの精度を高めてほしい。ソロのバックや全合奏に入る際での安定性に欠けていた。つづくシュトラウス《町人貴族》は、ヴァイオリンが6人の小編成で、室内楽の様々なスタイルが現れる実験的な曲。充実した演奏である。全合奏とソロ的な部分の対比の影が濃い。特に後半でのパート内のアンサンブルがしっかりしており、弦から管に移る場の変化に耳を奪われた。ppの精妙とも言える表現。空間の表現力が高い。これだけのアンサンブルの変化をこなすのは至難と思われるが、ここまでよく完成させたとの感想。グラズノフ「ヴァイオリン協奏曲イ短調」は、独奏の大谷玲子が存在感を示した。シングルトーンの強さ、切れ込み、ダブルトーンではシンフォニックともいえる厚みのイメージがある。ロマンスタイルの濃厚さと機能的な現代性を兼ね備えたバランスが、この楽曲にフィットして秀逸。安心して聴き入ることができた。
9月10日・三井住友海上しらかわホール
(渡辺 康)




日本経済新聞(夕刊) '07. 10月16日

イザイのソナタ全曲に挑戦

 大阪出身のバイオリニスト、大谷玲子(34)が、ベルギーのバイオリニスト兼作曲家、イザイの無伴奏バイオリンソナタ全6曲に挑む。超絶技巧を駆使する難曲で全曲演奏は3年半ぶり2回目。「前回は余裕がなく必死だったが、今回は客観的に曲を見つめ直したい」と言う。
 この3年半、楽譜に書かれた細かい指示を研究し解釈を深めた。「第1番ではバッハのフーガのような構成をしっかりつかみ、第5番は朝もやの日の出をイメージする」。ベルギーに留学経験のある彼女にとってイザイはまさに原点。「イザイはきれいな音質を追い求めた。私もそこを目指す」。公演は21日、京都市の青山音楽記念館。


http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news000501.html



毎日新聞(夕刊) '07. 10月11日

大谷玲子、4年ぶりの演奏会
21日・京都 イザイの難曲披露

 大阪を拠点に、ソロ、オーケストラ、室内楽の奏者として活躍するバイオリニスト、大谷玲子が4年ぶりに自主リサイタルを開く。超絶技巧で知られるイザイ「無伴奏バイオリン・ソナタ」全6曲を演奏するという精力的なプログラムだ。
 大阪市出身。いずみシンフォニエッタ大阪、室内楽グループ「Opus(オーパス)1」などのメンバーとして活動をする傍ら、京都市立芸術大や相愛大で指導にあたる。満を持して臨むリサイタルは、留学先だったベルギーのバイオリニスト・作曲家のイザイの作品を選んだ。「高度な演奏技術が必要な作品で自分の特徴も出せるし、30代の今のうちにやっておきたいと思った」と大谷。
21日午後3時、京都青山音楽記念館(075・393・0011)




音楽の友 '06 9月号

関西フィルハーモニー管弦楽団(第186回)

 ドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲」の独奏は大谷玲子。常に確かな手応えを届ける人だが、今回の飯守泰次郎が指揮する楽団との共同作業も高い完成度。音に鮮明な中心があり、それが音の伝達性を高める。冴え冴えした語り口は、作品の構造や輪郭を明瞭に描き出し、楽譜全体を俯瞰する趣さえある。と言って怜悧なだけでなく、次第に温度を上げてゆく燃焼性、小気味良い音の運びは、絶大な充実感で聴き手を包み込む。万全の準備を感じさせる独奏だ。
7月14日・ザ・シンフォニーホール
(響 敏也)




ザ・フィリピン・スター

オピニオン


2006年11月11日(土)

素晴らしい二重奏で日比関係を強化

 「魅惑の宵」―― ココナッツ・パレスで開催された、日本の著名ヴァイオリニスト大谷玲子と、フィリピンの人気ピアニストのネナ・デル・ロザリオ・ヴィラヌエヴァのデュオ・リサイタルのプログラムに書かれていた言葉であるが、まさにその通りのコンサートであった。モーツァルトのソナタ・ホ短調は、モーツァルトの典型的なスタイルで、活力と魅力的な創造性にあふれ、たちまち聴衆の心を捉えた。大谷の音は洗練されつつも力強く、よく響き、みずみずしく、輝いていた。二人ともモーツァルトの新鮮さとのびやかさ、そしてえも言われぬ優雅な旋律を見事に表現した。決して切れ味が鈍くなったり、退屈になったりすることなく、このソナタの生き生きとした第一楽章から、ゆっくりと気だるいテンポの第二楽章への移り変わりを、このデュオは流れるようになめらかに対比させた。大谷の鋭い音楽性と磨き上げられた技術が、ヴィラヌエヴァのそれをさらに引き立て、そこから生み出された均質で非の打ち所のない、まさに完璧な調和こそが、このリサイタルを貫いた特徴となっていた。「ツィガーヌ」は音楽学者たちからヴァイオリンとオーケストラ(またはヴァイオリンとピアノ)のためのラプソディーであるとされる作品である。ラヴェルは1924年にこれをハンガリーのヴァイオリニスト、Yelly d’Armaniのために書いた。彼女の国籍ゆえに、ラヴェルは次のように書いている。「ハンガリーのジプシー音楽の様式化 ―― ハンガリーの個性と感性をもった技巧曲である。冒頭は長い、ゆっくりとしたヴァイオリン独奏によるカデンツァ。2つ目のカデンツァの後、激しいジプシー旋律による主部が始まる。それに続いて様々なジプシー音楽や舞曲が登場し、やがてラプソディーの形が作り上げられていき、疾風のごとき終焉を迎える。」日本人(の演奏)は一般的に穏やかであるが、「ツィガーヌ」での大谷は、燃え上がるような激しさをかもしだし、それを演奏で表現した。ジプシーの炎と情熱は最高潮に達した。非常にエキサイティングな彼女の卓越した演奏は聴衆を魅了し、虜にした。聴衆はその名演に、立ち上がって熱い拍手を送った。ヴィラヌエヴァも同様に燃えた。彼女はそのきびきびと動く指を自由奔放に鍵盤の上に走らせた。マスネの「タイスの瞑想」は、微妙な音色のコントラストや響きのグラデーションによって表現される流れるようなメロディー・ラインが、深い思考を促した。日本の作曲家、宮城の「春の海」の技巧的な部分における華麗な演奏は、繊細な叙情的レガートのパッセージに特に顕著な、この作品のもつ東洋的性格を如実に表現していた。大谷によるヴァリエホの不朽の名作「ハバネラ・フィリピーナ」は、今まで聞いたことのないほどパワフルで情熱的。彼女が作品に活力や精気、活気を吹き込むたびに、火花が飛んだ。ここでも、華奢で優しい容姿の大谷が、「ツィガーヌ」と同様に、その容姿からは想像出来ないような花火を打ち上げた。雄弁なまでのその演奏に、さらにボディー・ランゲージが趣を加える。サン=サーンスの「ハバネラ」も、美しい、従来の叙情主義とのバランスを図った彼女の卓越した技術を披露する場となった。耳の肥えた聴衆の長い、雷鳴のような拍手に応え、アンコールにドビュッシーとクライスラーが演奏された。歓迎のスピーチを述べた山崎隆一郎(在フィリピン日本)大使の下で、コンサートへの支援が今後も継続され、今年50周年を迎えた日本とフィリピンの関係がさらに大きく発展していくであろう。



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