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大谷 玲子 CDレヴュー | ||||||
イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ全6曲 | ||||||
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レコード芸術 '08 9月号 新譜月評
【特選盤】 【推薦】ミルシテインの回想録『ロシアから西欧へ』(春秋社)に晩年のイザイが出てくる。ミルシテイン独自の洒脱な語り口で、ベルギーの王妃らに囲まれてアンサンブルをする老巨匠との交流がユーモラスに描かれていて大変興味深い。これらの曲の作曲者というのが、今ひとつぴんと来ない。もとより、芸術家に限らず、他人の内面は容易に窺い知れないということだろう。それはさておき、ここでそのイザイの独奏曲集を弾くのは大谷玲子。かつて桐朋学園およびブリュッセルの王立音楽院でダヴィドの息子イーゴリ・オイストラフらに学び、1996年のヴィエニャフスキ国際コンクールで最高位を受賞している。その演奏は明るく華やかな音色と滑らかなフレージング、的確なテクニックと洗練された解釈が示されている。この録音を聴く限り、フランコ=ベルギー派に、ロシア的な大らかさ、スケールの大きさをブレンドしたようなスタイルで、第1番第1楽章グラーヴェは、曲にふさわしいたっぷりとした出だしに音色の精妙なグラデーションが添えられ、第2楽章のフガートは瑞々しい音色で各声部が滔々と歌われる。第3楽章はほどよく力が抜けた歌い回しが愛らしく、後半は詩的な余韻を残す。第2番の第1楽章は華麗。第2楽章のメランコリックな旋律やピッツィカートも、パッションに溢れた〈フュリ〉もカラフルだ。よくコントロールされたヴィブラートが表現の多様さをもたらしているが、第3番〈バラード〉がその好例で、明るい音色で情感豊かに歌い上げて官能的だ。他の3曲は、第6番が弓を振り回し過ぎの感はあるが、総じて個々の楽章の特徴を捉えていると同時に、外へ向けられた率直な表現が快い。 (那須田 務) 音楽現代 '08 9月号 音現新譜評 【推薦】大谷玲子が遂にデビューCDを出した。それも彼女が最も思い入れがあるというイザイの無伴奏ソナタ全6曲である。大谷はコンサートではこの演目を既に何度も採り上げその都度高い評価を得ているが、満を持し録音した今回のCDの出来映えは実に素晴らしく、第1番から自身に満ち瑞々しく冴えた音色が聴かれる。全体の構成力にも優れ技巧的にも間然するところがない。第2番は性格的な曲想ゆえ出だしがややすっきりしすぎる感じだが「怒りの日」がアルペジョで出る辺り以降は鮮烈で内容的にも一段と磨きがかかっている。第3番は冒頭の瞑想を始め熾烈で完璧無類な名演。第4番も呻くような開始から凄まじい緊張感が持続し、切々と訴えかけて来る。 (浅岡 弘和) 関西音楽新聞 '08 9/1 イザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」全6曲 演奏・大谷玲子 イザイはバッハの無伴奏ソナタとパルティータに刺激を受け、かつヴァイオリンという楽器の技巧を深化させたい一心で、無伴奏ソナタに実験的に取り組んだといわれる。その実験が破天荒で、全6曲をシゲティら一流のヴァイオリニストに献呈し、それぞれの演奏スタイルを刻みつけるという快刀乱麻ぶりだった。 演奏した大谷玲子は独奏やいずみシンフォニエッタ大阪のメンバーとして関西ではおなじみ。イザイのこの曲は再三手がけており、個性派の彼女にふさわしいと言える。ここでも磨かれて豊麗になった技巧と確固とした詩的イメージを聞きつけることができる。 (白) |プロフィール|アーティストニュース|トップページ| |
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