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ダグラス・ボイド コンサート・レヴュー

名古屋フィル 第382回 公演プログラム


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'10 1/22・23
名古屋フィルハーモニー交響楽団 第365回定期演奏会


音楽の友 '10. 3月号
 指揮のダグラス・ボイドは英国、グラスゴー出身。ヨーロッパ室内管弦楽団を経て、2000年に指揮者デビューをした。すっきりとしたテンポ感で、それぞれの声部を整えて解像度高く展開するスタイルは、フィッシャーと似たアプローチを感じさせた。武満徹《ウィンター》は1971年の札幌オリンピックのために委嘱された。連続して変化する日本の冬を、綾なす音響で綴った作品。それぞれのアイテムの集中度をさらに高めることが可能だろうか。その可能性を感じた。さらに強い印象を残すことが出来るはずである。R.シュトラウス《4つの最後の歌》のソリストは平松英子。オーケストラと一体化した歌唱は完成度が高く安心して聴ける。しかしもう少し歌唱に重点を置くバランスがあってもよいのではないだろうか。こちらももう少し影の濃い表現を期待したくなった。
 後半のチャイコフスキー「交響曲 第1番《冬の日の幻想》」は大曲を十分にこなしていた。アレグロでの疾走するテンポが構造を曖昧にする場面も散見されたが、このような挑戦的な感じは、青年チャイコフスキーの若さの発露をじかに感じさせるもので、音楽の表現領域の重要な要素でもある。楽しめる展開だった。
1月22日・愛知県芸術劇場
(渡辺 康)



音楽現代 '10. 3月号

 名フィルの一月定期は、イギリスのグラスゴー出身、マンチェスター・カメラータなどで活躍するダグラス・ボイドを指揮に迎え、武満の《ウィンター》、R.シュトラウスの《四つの最後の歌》、チャイコフスキーの交響曲第一番という演目で行われた。ボイドの率いる武満は、細かく奏法の指定された複数楽器が絡む複雑な響きをバランスよく打ち立てて、深山に立ち上る霧のような美しいニュアンスを出した。しかしながら個々の楽器が持つべき音色に主張が弱く、結果、瞬間瞬間の力が薄かった。続くシュトラウスでは、独唱の平松英子がテキストを丹念に掘り下げて好演。分厚い響きのオーケストラも、バランスよく制御されて充実感があった。近年の名フィルは管楽器セクションの安定感がぐっと高くなり、今回のような演目が引き立つのである。後半のチャイコフスキーも、低音の豊かな鳴りに支えられて安定感のある演奏となった。
1月22日・愛知県芸術劇場コンサートホール
(水野みか子)




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