9月23日から10月5日までの13日間、ロータス・カルテットは6種類のプログラムによる10回のコンサートと1回のスタジオレコーディングを終えて足早にドイツへと旅立った。
それぞれ別行動のメンバーが全員最終的に日本に揃ったのが漸く初日公演の23日。
完全休養日が期間中 9月28日 ただ一日のみという凄まじい強行軍。
6種類のプログラムの内、東京文化会館、名古屋・宗次ホール、高崎市総合福祉センター、札幌コンサートホール Kitara での公演はベートーヴェン:ラズモフスキー・セット全三曲を演奏する2時間25分に及ぶ長大なコンサートであったが、いずれの公演地でも高水準の演奏が展開され、非常に大きな賞賛を得た。
大阪ではいずみホールの主催公演 世界の8つの弦楽四重奏団による『ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全曲演奏会』にもハーゲンQ、東京Q、モザイクQ、ゲヴァントハウスQら共に登場し、ベートーヴェンのほかウェーベルンの作品も演奏した。
今回のツアーでもう一つ注目すべき点は10回の内、東京文化会館(2公演)、大阪、
名古屋での4公演ではライヴレコーディングが行われたこと。
これらの録音の一部は将来CD化される予定である。(ライヴノーツ・レーベル)
また、10月2日にさいたま藝術劇場で行われたレコーディングセッションでは漆原朝子(ヴァイオリン)とシューベルト:ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのロンドを収録した。(フォンテック・レーベル)
今回のツアーで多くの識者から寄せられた意見に共通するものとして、ロータスの演奏にはヨーロッパの音楽家たちが持つ音楽的語法が聴こえる。
あるいは、演奏している姿を見なかったら日本人女性が三人も弾いていることは全く想像もつかない、まさにドイツ人の音楽家たちが弾いているよう。というようなものが非常に多かった。
4人の日本人音楽家が日本でのプロとしてのキャリアを投げ打って弦楽四重奏を学ぶために再び学生に戻ってドイツに留学し、そのままプロフェッショナルな弦楽四重奏団としてドイツの永住権を得て活動を続けるロータス。
かつてカザルスホールの機関誌に『お手本のないロータス』と紹介されたことがあるが、今もって、前人未踏の境地を歩んでいることが改めて認識された日本演奏旅行だったのではあるまいか。
尚、10月6日 朝 関西国際空港からドイツへ飛び発ったロータス・カルテットは到着早々チェコを代表する弦楽四重奏団でロータスとの親交も深い プラジャーク・クァルテットとのメンデルスゾーン:弦楽八重奏曲のリハーサルを始める。
(2008年 10月6日 記)
ロータス・カルテット日本ツアー2008
スケジュール
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