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2004年 10/13
“エドヴィン・フィッシャーのことを想起させるひととき”
迫 昭嘉(指揮・ピアノ)=京都市交響楽団
〜京都コンサートホール・アンサンブルホールムラタ
コンサートシリーズ モーツァルト・ツィクルス Nr.3〜』
     
  迫 昭嘉  
     
ピアノと管弦楽のためのコンサートロンド ニ長調 K.382
ピアノ協奏曲 第17番 ト長調 K.453
セレナード 第6番 ニ長調 『セレナータ・ノットゥルナ』 K.239
交響曲 第38番 ニ長調 『プラハ』 K.504
(アンコール=『ポストホルン・セレナーデ』終楽章)

モーツァルトのピアノ協奏曲は、そもそも、作曲者本人がソロを弾きつつ、オーケストラを統率して演奏するために書かれたものでした。
20世紀前半、このような演奏方式で、モーツァルトのピアノ協奏曲を演奏した人として、まず第一に挙げられる人がエドヴィン・フィッシャーです。
いわゆる『弾き振り』という演奏方式は、幼き日のバレンボイムに強烈な印象を残し、後にバレンボイム自身も得意とするところとなったことはあまりにも有名です。
エドヴィン・フィッシャーは単なるピアニストという枠組みだけでは語ることのできない『真に尊敬を集めた真摯で純粋な音楽家』であったと言われています。残された録音にはウィーン・フィル、ベルリン・フィル、フィルハーモニア管弦楽団などを指揮したものもありますし、戦前ベルリンで『エドヴィン・フィッシャー室内管弦楽団』を組織して演奏会を行った記録も存在します。
室内楽やリート・デュオの分野でも傑出した演奏を行っていますし、教育者としても優れた実績を残しています。
もし、現代の日本において、当時のフィッシャーのような活動ぶりを彷彿させる音楽家を探すとするならば、迫 昭嘉こそがそのようなあり方を正統的に継承する存在であると申し上げても過言ではないでしょう。

その、迫 昭嘉が本年9月、京都市交響楽団との意外にも遅すぎた初共演で、指揮者・ピアニストとして登場して絶賛を博しました。
京都コンサートホールの収容人員600名ほどの小ホール、アンサンブルホールムラタで行われたこの公演で、迫は 弦楽セクションの編成を8−8−6−4−3で、二群のヴァイオリンを指揮者の左右に対抗して配置させる、いわゆる、対抗配置、両翼配置と言われる配置をとり、協奏曲ではその中央に、ピアニストが客席に背を向ける形で楽器を設置して演奏を行いました。
14型を標準編成として、大編成による作品ばかりを演奏してきた、京都市交響楽団にとって、このような形態での演奏は非常に珍しく、ましてや協奏曲が弾き振りにより、演奏されることは皆無に等しい状況でした。

オーケストラ・プレイヤーにとっては、当初は戸惑いを覚えるものであったそうですが、迫 昭嘉が音楽家一人一人と室内楽を行うがごとく、音楽的な対話を深めることによって、互いの信頼関係が結実し、見事に音楽的なアンサンブルが実現しました。
迫が自らピアノを弾く協奏曲はもちろんのこと、ピアノを弾かずに指揮を行う後半のプログラム、特に交響曲『プラハ』の充実ぶりは目を見張るものとなりました。
好評に応えて早くも二年後、同シリーズへの再登場も検討されるなど、迫 昭嘉にとっては、実り多い京響初登場となりました。

迫 昭嘉 協奏曲主要レパートリー・リスト

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