リヒャルト・シュトラウス 《メタモルフォーゼン》
弦楽七重奏版

 
ブージー&ホークス版 総譜序文・翻訳


1990年にスイスで《メタモルフォーゼン》の草稿が発見され,ミュンヘンのバイエルン州立図書館がこれを取得しました。譜の冒頭には ‘メタモルフォーゼン アンダンテ(ヴァイオリン2本,ヴィオラ2本,チェロ2本とコントラバスのための) リヒャルト・シュトラウス‘  と記されており,このことから,どうやらシュトラウスはこの作品を当初弦楽七重奏として構想しながら,パウル・ザッハーからより大きな編成の弦楽合奏の依頼を受けて計画を変えたと考えられます。草稿の末尾には1945年3月31日と日付が入っており,一方で,23弦楽器のための総譜作成は3月13日には始まっていました。
 その二十三重奏版では,実際には大部分で複数パートが重複した構成となっています。弦楽六重奏とコントラバスのために書かれた言わば’初稿’を今回復元版として完成させるにあたっては,見つかった草稿だけでなく最終稿である二十三重奏版の総譜も利用しました。それによって,室内楽の形式の中にも本作品の完全なる響きの印象が実現されています。一方で,草稿が持つ興味深いディテイル(例えば,曲の最後に現れる転調など)は残されています。
 草稿使用の許可と励ましをいただいたミュンヘンのDr.ギュンター・ヴァイス教授に感謝いたします。そして何よりも,この《メタモルフォーゼン》復元版の演奏と出版を許可くださったシュトラウス家に心よりお礼申し上げます。

ルドルフ・レオポルト
1995年8月ウィーンにて

《メタモルフォーゼン》弦楽七重奏復元版はガルミッシュ・パルテンキルヒェンで開催された〈リヒャルト・シュトラウス・ターゲ〉期間中の1994年6月8日に初演された。演奏はウィーン弦楽六重奏団(ヴァイオリン:エーリヒ・ヘーバルト,ペーター・マツカ ヴィオラ:トーマス・リーブル,ジークフリート・フュアリンガー チェロ:ルドルフ・レオポルト,ズザーネ・エーン)とコントラバスのアロイス・ポッシュによる。
 二十三の独奏弦楽器版の初演は1946年1月25日にパウル・サッハー指揮のチューリヒ・コレギウム・ムジクムによって行われた。

七重奏復元版の初録音:EMI CDC 5 55108 2
演奏:ウィーン弦楽六重奏団とアロイス・ポッシュ
演奏時間:24分

   
   ブージー&ホークス版 総譜序文・原文
←クリックすると詳細がご覧いただけます。