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 静寂の顕現

 これまで音数の多いピアノ独奏作品をいくつか書いてきており、
 静寂を音でもってどの様に切り取ってデザインするか考えてきたが、
 今回の作品は静寂自体を音で表現出来ないかと思い書かれたものである。
 一見矛盾した表現に見えるが、静寂は音がある事によって存在し得るという発想であり、
 それは無音でもって表現出来るものでは無いと考えたのである。
 作品の冒頭において、極めて緩やかなテンポで演奏されるコラールを下地に鐘を彷彿とさせる
 高音域のパッセージが非周期的に鳴らされ、次第に意思を持つかの様に周期的へと変化する展開は、
 あたかも日常生活において無意識にBGMを聴いていたのが次第に意識的に聴くという行動に似ている。
 全曲中鐘の響きを想起させるモチーフが多く使用され、鐘が打ち鳴らされる余韻の中で
 メロディーが生まれるなど様々な展開をみせる作品となった。
 この作品は初演者の阿部裕之氏に献呈されている。

                                         酒井健治
   

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